
銀行や証券会社などで、ネットから口座を作るときの本人確認のやり方が変わり始めています。これまで多かった「運転免許証をスマホで撮って送る」方法をやめ、マイナンバーカードなどに入っている小さなICチップ(カードの中の情報を記録した部品)をスマホで読み取る方法に切り替える動きが、予定より早く広がっています。金融庁が10月9日、金融機関などに早めの切り替えを求めたことがきっかけです。
何が起きたのか
もともと国は、ルールを改めて、2027年4月から「本人確認書類の写真を送ってもらうだけ」の確認方法を原則として使えなくすることを決めていました。写真はコピーや加工がしやすく、他人になりすまして口座を作る悪用が心配されていたためです。
ところが、この秋は企業への不正アクセスによる情報の流出が相次いでいます。中でも、カーシェアのサービスで運転免許証の画像などを含む約160万件の本人確認書類の情報が流出したと報じられ、流出した免許証の画像が、勝手な口座開設やクレジットカードの申し込みに使われるのではないかという心配が強まりました。
そこで金融庁は、2027年4月を待たずに、できるだけ早くICチップの読み取りに切り替えるよう金融機関などに求めました。切り替えまでの間も、送られてきた書類や顔の画像に不自然な点がないか、念入りに確かめるよう呼びかけています。
報道によると、大手銀行はすでに準備を進めており、一部の銀行は切り替えの前倒しを検討しているとされています。暗号資産(仮想通貨)の取引所の中には、10月13日で運転免許証による新規の口座開設の受け付けをやめ、マイナンバーカードの読み取りだけにしたところも出ています。地方の銀行でも、来年の早い時期から新しい方法に対応したサービスを始めるところが増えると見込まれています。
私たちへの影響
いちばん大きな変化は、これからネットで新しく口座を作るときです。免許証を撮影して送るだけでは手続きが進まず、ICチップ付きのマイナンバーカードと、カードを読み取れるスマホなどが必要になる場面が増えていきます。
一方で、すでに本人確認が終わっている口座については、少なくとも切り替えを発表した取引所では「今の取引には影響しない」と案内しています。今使っている口座がすぐに使えなくなる、という話ではありません。ただし、扱いは会社ごとに違う可能性があるので、気になる人は利用している会社のお知らせを確認しておくと安心です。
また、今回の変化は「自分の免許証の画像が流出していたら、悪用されないか」という不安への対策でもあります。写真だけで口座が作れなくなれば、流出した画像を使ったなりすましは難しくなります。利用者にとっては少し手間が増えますが、自分の名前を勝手に使われる危険を減らす仕組みだと考えるとよいでしょう。
今日やっておきたいこと
1. マイナンバーカードがあるか、期限が切れていないかを確かめる カードを持っていない人は、住んでいる市区町村で作る手続きが必要です。受け取りまで日数がかかるので、近いうちに口座を作る予定がある人は早めに動きましょう。
2. カードの暗証番号を思い出しておく スマホでカードを読み取るときは、カードを作ったときに決めた暗証番号の入力を求められることがあります。控えをどこにしまったか確認しておくと、いざというときに慌てずにすみます。
3. 口座開設の予定がある会社の案内を見ておく 切り替えの時期や必要なものは会社ごとに違います。新しく口座を作るつもりの銀行や証券会社があれば、その会社のホームページで本人確認のページを見ておきましょう。
4. 「本人確認のため」と言う怪しい連絡に注意する 制度が変わる時期は、それに便乗したうその連絡が増えがちです。メールやSMSのリンクから免許証やカードの写真、暗証番号を送らせようとするものには応じず、会社の公式アプリや公式サイトから確かめるようにしましょう。
まとめ
- 金融庁が10月9日、口座開設などの本人確認を「ICチップの読み取り」に早めに切り替えるよう金融機関などに求めました。
- 2027年4月を待たず、免許証の写真を送るだけの方法を終える会社が出始めています。すでに確認済みの口座がすぐ使えなくなるわけではありません。
- マイナンバーカードの有無と暗証番号を確かめ、制度変更に便乗した怪しい連絡には注意しましょう。
参考にした記事